【11月14日は世界糖尿病デー】糖尿病の基礎知識と恐ろしい合併症とは?

世界糖尿病デー

糖尿病が引き起こす社会問題は?

糖尿病はとても身近な病気の一つであり、読者の中にも知り合いや家族が糖尿病の薬を飲んでいるという方は多いのではないでしょうか?

2016年の厚労省の調べによると「糖尿病が強く疑われる人」は1000万人に増え、糖尿病予備軍も含めると2000万人にも上ると言われています。

私は現在、薬学生として循環器内科の門前薬局で実習を行なっているのですが、

毎日多くの患者さんと接する中で、

「糖尿病の患者さんってこんなにいるんだ!」と驚くのと同時に

「飲んでる薬も10個近くあるし医療費やばそう」と悲観的気持ちになりました

患者が負担する医療費の割合は、原則的には、かかった医療費の3割となっていますので、残りの7割は医療費(税金)から支払われています。

つまり糖尿病患者数の増大とともに、間接的に私たちの負担が増えていきます。

(糖尿病だけで医療費も今や2兆円に近づこうとしています)

医療費の推移|平成20~30年度
一人当たりおよそ年に22万円ほど!

ですから個人のみでなく社会全体の経済的損失は計り知れません!

そんな糖尿病とはどんな病気なのでしょうか?

糖尿病というと肥満のイメージがあると思います

私も

糖尿病=肥満 

であると思っていたのですが、

実は患者さんの多くは普通体系であり、一見どこも悪く見えません

それは古くからの日本人の食生活と欧米人との体質の違いに起因します。

糖尿病とはどういう状態?

モノが動くためにはエネルギーが必要ですが、それは私たち生き物の体も同じです

体のエネルギー源は主にお米やパンのような炭水化物です

炭水化物はそのままでは利用できないので腸の中で分解されブドウ糖になります

吸収されたブドウ糖は血液の中に入り、血糖値、すなわち血中のブドウ糖の濃さはわずかに上昇します。

このわずかな血糖の上昇に反応して膵臓からインスリンというホルモンがでます。このホルモンは、肝臓、筋肉、脂肪組織にはたらいてブドウ糖を細胞の中にとりくみます。

そのため血糖値は、大きく上昇することはありません。

しかし、膵臓からのインスリンの出が悪かったり、肝臓や筋肉、脂肪組織でのインスリンの働きが悪かったりすると、ブドウ糖の濃度が上がってしまいます。

このような状態が、糖尿病です

糖尿病で怖いのは合併症。

では血糖値が高い状態が続くとなぜいけないのでしょうか?

それは糖によって血管がダメージを受けてしまうためです。

神経や血管が集まる組織(目や腎臓、神経)で特に症状が現れやすく有名な合併症を引き起こします。

三大合併症

  1. 糖尿病生網膜症
  2. 糖尿病性腎症
  3. 糖尿病性神経症

実は失明や透析導入の原因のナンバーワンは糖尿病の合併症によるものなのです

また、心臓に栄養を届ける冠動脈と呼ばれる血管が機能しなくなる心筋梗塞では患者のほとんどが糖尿病を発症していると言われています

糖尿病の原因

糖尿病はその原因によって、4つに分類されています。

4つのタイプ

(1)1型糖尿病
(2)2型糖尿病…日本人の95%
(3)遺伝子異常、膵臓病、肝臓病などが原因の糖尿病
(4)妊娠糖尿病

1型糖尿病は膵臓のインスリンを出す細胞に対して、免疫反応がおきて、細胞が壊されてしまう状態です

いわゆる自己免疫疾患の一つです

進行するとインスリンを出す細胞が壊れて、インスリンが出せなくなるので、

インスリン注射が欠かせなくなります。子どもや青年期に多く起こります

食事内容や生活習慣に関係なく、遺伝の影響も少ないとされ、

どうして起こるのか今だによく分かっていません。

2型糖尿病は日本人に多く、95%はこのタイプです。

膵臓からのインスリンの出が少ない状態や、肝臓や筋肉、脂肪組織でインスリンが効きにくい状態が、生まれつきあって、そこに過食、肥満、運動不足、ストレスが引き金になって血糖値が上がってくるといわれています。

日本人では、欧米人と比べて、インスリンの出がすくなく、軽度の肥満でも糖尿病が起こりやすいといわれています

それは食生活の急激な変化が、長年培ってきた日本人の体質にとってマイナスに作用しているからと考えられます。

失明の原因第二位!糖尿病性網膜症とは?

糖尿病には三代合併症があり、その一つが糖尿病性網膜症で、それは緑内障に次ぐ失明の原因となっています。

糖尿病患者の40%の人に起きていると言われる糖尿病性網膜症ですが、

自分では気付きにくく、検査を受けたのは約半数というのが現状です。

一般には自覚症状なく進行すると言われ、定期的に受診することで視野欠損のリスクを避けることができます。

網膜は目の奥にある組織で、カメラでいうとフィルムに当たる部分で、光の明暗や色を感知する役割があります。網膜症はこの毛細血管が炒められ、感度が悪くなったり、そのものが障害を受けた状態になる病気です。

糖尿病性網膜症には進行具合によって三段階に分類されます。

1.単純網膜症…網膜内の血流が悪くなり、症状はありません。

2.増殖前網膜症…血管が詰まって。網膜の一部に血液が流れていない虚血部分が生じた段階で症状はほとんどない。この段階ではレーザー凝固療法によって進行を防ぐことが可能。

3.増殖網膜症…虚血部分に酸素や栄養をなんとか送り込もうと、新生血管が生じてくる段階。これは一見理にかなっているように思われますが、新生血管は大変もろく出血しやすい血管で、急激な血糖低下によって新生血管からガラス体出血をきたすことがあるので、注意が必要です。ガラス体手術により重篤日を防ぐ方法もあります。

早めの受診で失明を防いだり、進行を防ぐことが可能です。

糖尿病性網膜症がない場合でも、半年~一年に一回は眼科を受診し、糖尿病連携手帳を活用しましょう。

世界糖尿病デーはなぜ11月14日?

インスリンの発見者、フレデリック・バンティングの誕生日

世界糖尿病デーは、糖尿病の脅威が世界的に拡大していることを受け、注意喚起を促そうとIDFとWHO(世界保健機構)によって1991年に開始され、2006年には国連の公式の日になりました。

11月14日はチャールズ・ベストとともにインスリンを発見したフレデリック・バンティングの誕生日なのです。

前述のように、彼らの「インスリンの発見」によって糖尿病治療は飛躍的な進歩を遂げルことができました。

ちなみに、国連が「世界○○デー」と疾患名を冠し啓発の日を設けているものは

12月1日の「世界エイズデー」と「世界糖尿病デー」の2つです

糖尿病とインスリンの歴史

藤原道長は糖尿病だった?!

糖尿病に関しては、糖尿、と言われるように古くから知られていて

糖尿病の患者の尿にはアリが集まると言われ、中国では8世紀頃に

甘い尿の多尿性疾患があることが記載されています。

一方、日本の糖尿病家系で有名なのは平安時代を謳歌した藤原道長の一族です。

平安時代は中国からの医学(東洋医学)が主流で、

多尿を主訴とする病は”消渇”と記載されていました。

また、藤原道長は視力障害を訴えたとされ、

「夕刻でも白昼でも、それに関係なく目が見えない」

という記録が残っており、これは後述する糖尿病の合併症である

糖尿病性網膜症だったのでは?と考える人もいます。

目覚ましい進歩を遂げたインスリン療法

現在、インスリン製剤や注入デバイスは進歩しインスリン治療を開始・継続するにあたり、患者の負担は軽くなっています。

インスリンは20世紀最大の医薬品の発明とも言われます。

1923年に世界初のインスリン製剤「アイレチン」が発売され、当時は奇跡の薬(ミラクル)と言われていたほどです。

日本では1980年代になってようやくインスリンの自己注射が認められたが、

それまでは自宅での自己注射が認められておらず、注射は医療機関で行わなければなりませんでした。

また血統自己測定装置が保健適応になったのは1986年です。

インスリンデバイスの進歩もめざましく、

最近では健康な人のインスリン分泌パターンを再現するために、

様々なデバイスが開発されています。

針のタイプも太さも31G(0.25nm)など髪の毛よりも細い

使い捨て(ディスポーザブル)のものが開発され、

痛みを感じないので驚いた

といった声がよく聞かれます。

髪の毛よりも細い針の開発

このようにインスリン療法は個々の病態や生活リズムに合わせて、より安全に行える時代に変化してきました。

より生理的なインスリン動態に近づけたインスリン製剤も開発され、

多くの患者の血統コントロールに役立っています。

糖尿病連携手帳を活用しよう

糖尿病連携手帳は、日本糖尿病協会が発行している手帳です。

これは糖尿病患者さんのマイカルテとして、毎月の検査値や医師の指示、眼科受診の記録などが記載され、かかりつけ医師やかかりつけ眼科医、歯科医、かかりつけ薬局などが医療連携して情報共有し、患者を支える大切な手帳です。

眼科の検査の目安なども書かれていますし、災害や入院時にも役立ちます。

糖尿病連携手帳とお薬手帳をセットにして、かかりつけ医師、病院や眼科、歯科や薬局に来ていただけると医師や薬剤師が患者さんの状態や薬の飲み合わせをチェックできるので安心です。

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